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今までに、最初からミヤさん以外の生身の人間が歌ったものを新曲として上げた事は無いはずだ。
それを、最近良くコラボさせてもらっているとはいえ本当に俺なんかが歌ってしまっていいのだろうか。そうずっと悩んでいた。
「勿論良いに決まってるだろ。どうしても樹と歌いたかったんだよ。
真面目な樹の事だ、そんなこと言っていてもちゃんと楽曲練習してきたんだろ?」
「……練習はしてきましたけど。」
「やっぱり。」
そんな風に笑顔を見せないで欲しい。心臓がどうにかなってしまいそうだ。
ミヤさんから送られてきた曲は、禁断の恋をテーマにしたものだった。
所謂、デュエットソングという奴で、同性同士の恋を歌ったものでは勿論無いのであるが、練習中もずっと感情移入をしすぎてしまいボロボロと泣き崩れてしまう事も何度もあった。
ミヤさんも、禁断の恋をしているのだろうか。
録音の準備を始めるミヤさんを見ながらそう考える。
勿論、必ずしも曲のテーマが実体験で無い事は分かっている。
「あれ?樹どうした?」
あまりにも不躾な視線を送ってしまったのでミヤさんがどうしたと聞いてきた。
「ミヤさんは禁断の恋をしているんですか?」
心の奥底で聞きたい質問はこれでは無いのだけれど、質問をしてみる。
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