愛をうたう

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だんだん、声が小さくなってしまったけど、至近距離にいたミヤさんにはきちんと聞こえたらしい。 「ほんと、たまんねーな。」 重低音で囁いた言葉に、僕は今でも恐らく赤い顔がもっと赤くなった事を自覚した。 恥ずかしくてたまらなくて、ミヤさんの胸元にすがりつく。 クスリと笑う音がした。 「なあ、もう一度キスしてもいいか?」 「あ、あの、初めてだったので俺あんまりキス上手くないと思いますけど、それでもいいなら。」 俺がミヤさんにすがりついたまま答えると、ミヤさんはあわてたように俺を引き剥がし、お互いに向き合って座った。 「本当にごめん。まさか初めてだとは思わなくて。改めて、キスしてもいいか。」 はいという返事の代わりに俺は静かにまぶたを閉じた。 すぐに、本当にやさしいキスと「好きだよ。」という世界で一番大好きな声が振ってきた。 ********************** 結局その日は録音どころではなく、後日改めて録ったその曲は今までで一番人気の曲となった。 ミヤさんは「二人の共同作業だから当然だろ?」と笑っていた。
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