303人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
************************
俺の家に来た樹はきょろきょろと部屋を見回している。
その姿もすごくかわいい。
写真撮っちゃだめだよな。
なぜだか、樹はいつにもまして自信がなさそうで、少し心配になった。
ニヤニヤ動画で、確固たる地位を築き始めている樹が歌うことに問題なんかあるはずもないし、そもそも最近俺の作る曲は基本的に樹のために作っているものばかりだ。
少し舌ったらずなその発音も人気の秘訣のようで、俺が個人でアップした動画にも「みゃーさん」タグがつく位だ。
「ミヤさんは禁断の恋をしているんですか?」
そう聞かれ一瞬答えに窮した。
今回、作った曲は禁断の恋をテーマにしている。
だが、俺は樹を好きだというこの気持ちが禁断のものだなんて、正直これっぽっちも思っちゃいない。
「そもそも絶対に好きになっちゃいけない人なんてこの世の中に居ないと俺は思っているよ。」
「だって、不倫とか駄目な事ってありますよね。」
まあ、相手のいる人を好きになると面倒くさいことになることはあるよな。
その点、樹はフリーだとこの前聞いて確定している。
最初のコメントを投稿しよう!