愛を叫ぶ

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俺は電話口で樹に今俺が会社で置かれている状況、今日の会議であった事を一つ一つ説明していった。 「樹、歌ってくれないか。」 「俺にとって、ミヤさんの曲を歌わないっていう選択肢はありませんよ。」 俺の声は恥ずかしい位に小さかったのに対して、樹の声はいつも通りだった。 「分かってるのか!?俺はもう会社を辞めるつもりだから、デモテープから樹自身に歌って欲しいと思っている。 明日までに完成させないといけないから今日これから会社に来てもらう事になる。 自分がどんな目で周りから見られるか本当に分かっているのか?」 再度俺が聞くと、それでも樹はとても落ち着いた声で言った。 「分かっているつもりです。怖くないと言ったらウソになります。 でも、ミヤさんが俺を頼ってくれたのはこれが初めてなんです。」 俺はそれがとてもうれしい。消えそうな声でだけど、とても幸せそうに樹は言った。 何故だか、その時俺は樹に救われた。漠然とそう思った。 ああ、こいつを愛せて良かった。 その瞬間、主旋律が頭の中を駆け巡る。 俺が作ったゲームのメロディーをバックグラウンドに全然別のメロディ混ざりながらアンサンブルを奏でる。 これだと思った。 これしかないと思った。     
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