愛を叫ぶ

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仕事帰りに待ち合わせをした事があるため樹は俺の会社の場所を知っていた。 できればなるべく早く来てほしい事を伝えて自分の仕事スペースへと向かった。 ◆ フロアに入ると橋本さんが駆け寄ってきた。 「ちょっ、宮本!!確認のためにミヤヴィの動画見たんだけどあの声って、宮本だよな?」 「……そうですね。」 俺が返すと橋本さんは少し考えるようなそぶりを見せた後 「宮本の所にオファーは来てなかったって事だな。」 と言った。 俺はそれには答えず 「もう一人、“ヴィー”の了解は取りました。今日これからここに来てデモテープ作るのでよろしくお願いします。」 驚く橋本さんに、俺は、急いでいるのでと言うと自分の席に戻った。 先ほど頭にあった旋律を次々に入力していく。 もう頭の中で曲は出来上がっている。 後はそれを形にするだけだ。 ひたすら画面に向かって音を、樹の為の曲を作り上げていった。 どれだけたっただろう。 昼飯も食べずただひたすら作業を続けていると肩を強く叩かれた。 振りかえると橋本さんと樹がそこにいた。 「宮本、迎え位行ってやれ。今お前を訪ねに男が来たらどういう視線にさらされるか分かってない訳じゃないだろう。」 「あ、あの。本当に大丈夫ですから。お気になさらずに。」     
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