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恋人でも無い男とそういった行為ばかりをする生活に嫌気がさしたから動画投稿を始めたという部分もあったのだ。
ただ、そもそもの俺自身がホモであるというのは嘘ではないのだ。
自分のアップした動画はこまめにチェックをしてあまりに酷いコメントを削除する事はした。
だが、俺が管理していないSNS等での発言まで一々削除をする事は不可能だ。
以前体験した、会社での吊るし上げの事を思い出しギリギリと胃が痛んだ。
会社の人間であれば俺がゲイだという事も俺がミヤだという事も知っているのだ。
会社の人間が書き込んだとは思いたく無かった。
だが、もしかしたら俺の事を面白可笑しく書きたてた人間が俺の直ぐ近くに居るのでは無いか、そんな嫌な疑心暗鬼の気持ちが落ち着く事は無かった。
そんな中、ニヤニヤ大集会の日は刻々と迫っていた。
既にセットリストは確定しており、辞退する事も難しい。
俺は、心配そうに見つめる恋人をそっと抱きしめて、それから暫くそのまま、その感触を味わう。
その間、樹はずっと黙ったままだった。
抱きしめた時の様にそっとその腕を離す。
俺の事を真摯に見つめる樹に伝える。
「ライブの時は、お互い忙しいだろうから別行動にしようか。」
一緒に出演する、そう約束したから樹は出演を決意した事は勿論覚えているし分かっている。
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