1、ひろう

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 閉じていたフタを開いて中を覗くと、子猫が一匹入っていた。白地に灰色のブチ模様の入った子だった。青い瞳でじっと私を見ていた。その途端、雨が土砂降りになったのだ。置いていける訳がなかった。  そっと子猫に触れてみた。猫に触るのは小学生の時に、友達の家でペットを撫でさせてもらって以来だ。そっと抱き上げる。両手に収まるぐらいの大きさだ。  柔らかい毛に覆われていて、ぬいぐるみのようだけど全然違う。ずっしりと重量があって、仄かにあたたかい。動いて「ミィ」と鳴いている。生きている。  観察していると、子猫の鳴き声が小さくなっているのに気づいた。体も震えている。私は慌ててバックからスマホを引っぱり出した。  『子猫』『あたためる』で検索すると、子猫を拾ったらどうするかについて書かれたサイトがいくつか引っかかった。そこに書かれてい通りにタオルで子猫を包み抱きしめた。サイトには、他にも寝床作りの方法や、簡易的な湯たんぽの作り方なども書かれていた。  私は子猫を片手に抱えながら、貰い物のタオルをかき集めた。ダンボール箱にタオルを敷き詰めて寝床にするとあったが、子猫の入っていたダンボール箱は少し湿っている。丁度いいものはないかと、また家中を子猫と一緒にうろつき、洋服の入っていたカゴを発見した。     
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