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ひっくり返して空にしタオルを敷く。カゴの中に子猫を入れると、子猫はクンクンとカゴの中の臭いを嗅いだ。少し元気になったようだ。
何か食べるものをあげようと思った。しかし、何をあげればいいのだろうか?
家には猫用の食料はないし、私には猫に食べさせて良いものと悪いものの知識がなかった。
買いに行こう。
気づけば、降っていた雨もだいぶ弱くなっている。
「すぐ帰るからね」
私は子猫の横に、ぬるくしすぎた湯たんぽを置いて家を出た。
家を出て数歩歩いたところで、どこへ行けばいいのか分からないことに気が付いた。
猫は好きでよく画像や動画を見ているが、飼った経験は一度もなかった。あやふやな記憶を頼りにコンビニに入ると、棚の一角にペットフードが置かれていた。猫用の缶詰、おやつのパウチ、ミルクもあった。それぞれ手に取ってみるが、これでいいのか分からない。あの子猫はもうご飯を食べられるのだろうか。それともまだミルクの方が良いのだろうか。早く帰らなくてはと思えば思うほど、焦って頭が混乱する。
「千香ちゃん?」
突然名前を呼ばれ、驚いて振り返った。私の通っている学校とは違う制服の女の子が立っている。雰囲気が変わっていて一瞬分からなかったが、幼なじみの佳菜子だった。
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