2、さがす

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 私の家では猫を飼うことが禁止になっている。聞いたことはないが、たぶん犬もダメなんだと思う。  前にも一度、猫を拾ってきたことがあった。幼いころで、佳菜子ともう一人の友達の三人で見つけた猫だ。私達は拾った場所から一番近かった私の家へ向かい、母に「この子飼っていい?」とたずねた。断られるかもとは思っていたが、まさか怒鳴られるとは思っていなかった。  母はピアニストであり、そしてとても神経質な人でもあった。引っかかれて指に怪我でもしたらどうするのとヒステリックに叫び、私達を家の敷地の外へ追い出した。結局その猫はもう一人の友達が飼うことになったが、その一件以降その子との間に距離ができてしまった。  「お父さんとお母さんは仕事で一週間帰ってこないから、その間に里親を探さないと」  「一週間か…」  子猫の毛が乾き、くすんでいた白い毛がおろしたてのワイシャツのように真っ白になった。子猫は私の膝の上ですやすやと眠りはじめてしまった。もう動けない。  「佳菜子の家じゃ飼えないかな」  「ごめん、今うちペット不可のマンションなんだ」  「え、ぶんちゃんは?」  ぶんちゃんは佳菜子の家で飼われていた猫の名前だ。  「けっこう前に病気で死んじゃったんだよね」  そういえば、ぶんちゃんに最後に会ったのは五年以上も前だった。今更になって知った癖に、とても寂しくなった。  私達は、まず友達の中に子猫を飼える人がいないか探すことにした。『飼える人募集』と書いたメッセージに、膝の上で寝ている子猫の写真を添えて送信した。仲の良い友達からはすぐに返信があったが、みんな飼えないということだった。
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