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 佳菜子は、慣れた手つきで子猫を抱き上げた。  「目はしっかり開いてるし、歯も生えてるから離乳食で大丈夫だと思うよ」  ホームセンターの袋から、買ってきた子猫用のキャットフードとミルク、そしてトイレ用の猫砂を出して床に並べた。私が餌皿を用意している間、佳菜子は小さな紙製の箱にビニール袋をかぶせて「これぐらいかな?」と言いながら猫砂を注いでいる。  離乳期からと書かれていたキャットフードを皿にあけ、子猫の前に置いてみた。子猫はそれが食べ物だと分からないようで、ずっとクンクン臭いを嗅いでいた。  「それにしても、随分と散らかってるね」  佳菜子に言われて、ようやく寝床や湯たんぽ作りのために家中を引っかき回したことを思い出した。とりあえず見える所だけを片づけていると、いつの間にかキャットフードを入れていた皿が空っぽになっていた。  「この子はきっと大物になるぞー」  佳菜子は口の周りをペロリと舐めている子猫を持ち上げ、頬ずりした。デレデレとした顔だったが、突然渋い表情になり、「ん、臭いな」とつぶやいた。見た目は少し変わったけど、佳菜子は昔のままだった。  お風呂場で子猫を洗うことにした。最初は大暴れするので二人がかりでも大変だったが、お湯加減が気に入ったらしく最後はまったりとお湯につかっていた。  「千香ちゃん」  ドライヤーで子猫の体を乾かしながら佳菜子が聞いた。  「この後どうするの?千香ちゃん家、猫飼えないんだよね」
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