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恋愛大国・ニッポン
テレビから流れてきたフレーズに、三上柚月は思わず振り向いた。
ドラマのCMかと思ったが、そうではないようだ。
寝癖のついた髪をかきながら、画面に目を凝らすと、
『恋愛大国・ニッポン』の文字がデカデカと出ている。
「最近あのCMよくやってるわね。すごい人気らしいじゃない」
コタツで横になっている母親の景子がぼそっと呟いた。
柚月は目をこすりながら、コタツに座り、みかんを手に取る。
「何なの、今のCM」
「え、あんた知らないの? よくやってるわよワイドショーでも」
「そうなの?」
「そうよ。運命の相手がわかるんだって」
「運命の相手? どうゆうこと?」
「最高に相性がいい相手がわかるんだって」
「あい、しょう?」
みかんを頬張りながらテレビに目をやると、ニュース番組がやっている。
官邸で、総理大臣が数人の記者に囲み取材を受けている。
『恋愛を輸出するニッポン』
テレビに映る文字に、柚月の目は釘付けとなった。
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