ふたりで…

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すると、何も言わずに見守っていた結ちゃんが口を開いた。 「じゃ、絆、私は行くね。 一応、天のそばにいないといけないから。」 それを聞いて、仁くんはようやく私を解放した。 「あ、結さん、お久しぶりです。 挨拶が遅れて申し訳ありません。」 「ふふっ いいのよ。 仁くんには、絆しか見えてないのよね。 仁くん、絆、ちょっと前に失恋したの。 慰めてやってね。」 そう言って笑うと、結ちゃんは手をひらひらと振って部屋を出て行った。 「もう! 結ちゃんてば、余計な事しか 言わないんだから。」 私が悪態を吐くと、仁くんが私の顔を覗き込んだ。 「絆、失恋したの?」 そう聞かれて、私は思わず苦笑した。 「失恋ってほどの事じゃないよ。 向こうが、『付き合って』って言うから、 付き合ってみたけど、相手は出世目当て だったのに、天くんに出世の後押しはしない って言われたから、捨てられただけ。 もともと好きな人でもなかったし、 全然気にしてないよ。」
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