ふたりで…

11/15
734人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
出番と言われて、にわかに緊張してきた。 ちゃんと弾けるかな。 仁くんの足、引っ張ったりしないかな。 私が固まってると、仁くんが私の正面に回って、その大きな両手で私の頬を包み込んだ。 「絆。 いつも通りの絆でいいから。 俺だけを見て。 俺とひとつになればいい。 大丈夫。 何があっても、俺が守るから。」 そう言うと、仁くんはそのままおでこをコツンと合わせた。 きゃー!! 何これ!? 今度は緊張とは違うドキドキが襲ってくる。 仁くんは私から離れると、私の手を握って歩き出した。 私は、混乱してよく分からないまま、仁くんについていく。 会場の入り口で総務の人が立っていた。 「今、司会者に連絡して参ります。 こちらで少々お待ちください。」 そう言って、担当者は中に入っていく。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!