ふたりで…

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程なく、入り口の扉が大きく開いた。 「世界的ピアニスト、春山仁さんです。 皆さま、拍手でお迎えください。」 スポットライトが仁くんを照らす。 すると、隣にいる私まで光の輪の中に入ってしまう。 逃げたくても、仁くんは私の手を取り、エスコートして入場するから、逃げられない。 仁くんが歩いている間、司会者が、仁くんの経歴を紹介していく。 そして、最後に、 「本日、一曲目は、 『2台のピアノのためのソナタ』です。 もう1台のピアノを演奏してくださるのは、 第一本部システム部の栗原絆さんです。」 と曲紹介とともに、私も紹介される。 周りには、見知った顔が不思議そうにこちらを向いている。 そうだよね。 音大卒って事は知ってても、仁くんと並べるほどの実力があるとは、思ってないもんね。
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