ふたりで…

14/15
732人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
最後に仁くんのリスト『マゼッパ』 超絶技巧練習曲と名付けられただけあって、その指の動きは見ているだけでも美しい。 私も学生の頃、指から血を流しながら、練習したなぁ。 これで終了…と思ったら、アンコールがかかった。 そうだよね。 私も仁くんのピアノ、もっと聞きたい。 そしたら仁くん、とんでもない事を言い出した。 「2人でクリスマスソングメドレーを即興で。」 はぁ!? そんなの聞いてないし、即興演奏なんてできないし。 私が驚いてアワアワしてると、仁くんがステージ傍の私を迎えに来た。 私は小声で仁くんに、 「無理! 絶対、無理!」 と言った。 だけど、仁くんは、にっこり笑って、 「俺が合わせるから、さっき弾いてたの 弾いて。」 と囁いた。 仁くんは、有無を言わさず、私の手を取り、ステージ上へエスコートする。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!