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『……………君は完全消滅するよ。魂が擦り切れて、面影すら残らなくなる』
「消えるでしょうね、間違いなく。参った事にこれからどうなるのか知った後だと余計に自信がつく」
『もう一度だけ尋ねるよ。
―――――お願いはないのかい?』
「……誰かに掛ける願いはありませんよ。僕自身が願いを叶えられなければ、どんな願いも泡沫の夢で終わるだけ。
それに願いを叶えるだけの能力を貰うのは狡いじゃあないですか。理不尽だ。それを受け入れてしまったら、他でもない僕自身が納得できなくなる。だから、僕には誓う事は有っても、願う事はありませんよ。
―――ああ、でも、これからその能力をせびらなくっちゃあいけないのか。我ながら信用ならないな…。
そうだな。確かにこれじゃあ任せられない。取引も断ったんじゃあ尚の事か。
それなら、願いの代わりじゃあないけれど、誓おう」
『これから消えるのにかい? 無意味じゃあないかな』
「それでも誓うさ。
僕が死のうとも『僕』は神の敵で在り続ける。
それが『僕』の証明だ。自我も、記憶も、肉体も、全て消え去ったとしても僕の在り方は変わらない。
なにせ、誰からも救われない、報われない存在がいるんだ。その想いを誰も受け止めないなら、『僕』が背負う。
輪廻から外され、見捨てられる魂があるなら『僕』が拾う。
あらゆる神から拒絶される神がいるなら、『僕』が受け入れる。
『僕』は神の敵として、神を推し量る存在に成る。
そのために、僕は君の計画――【虹の果て】に参加する。
僕はこれで消えるだろうから、君に誓っておく」
『…………………その誓いも、すぐに忘れるよ』
「そうなったら君が教えてあげればいいじゃあないですか。
これから発生する子は誰かの想いを嘲笑ったり、貶めたりはしないでしょうよ。
―――それじゃあ、手筈通りに動いてきます。ああ、それから―――」
『ああ、それじゃあね。くれぐれも演技だと気付かれないように』
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