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「―――全員取り返してやる。覚悟しておけ」
男の瞳に宿されていたそれは紛れもない殺意。
「あ? 覚悟なんぞヴァルザードに来る前からずっとしてるぜ。
誰かの下に就くということはその誰かに見限られるということ。そして、その逆も然り。
俺がどうするかは俺が決めることだ」
しかし暗闇に潜む影は悪びれもしない。
当然だ。彼はこの土地で生まれ育ったのでも無ければ、家族すらもいない。
ヴァルザード国のギルドに所属しているし、英雄としての地位も与えられている。
だが、それが命よりも重いかどうかは話が別。
「義より、利をとったか。君はそんなお利口な人格ではないと思ったのだが…ね」
「俺は利口だとも。少なくともこの状況でお前にも取引を持ち掛けるぐらいにはな。
―――扨て、三つ目の続きを話そうじゃあないか」
決別と凋落が始まる。
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