(´・ω・`)邪神が世界を救うって頭おかしくない?

3/39
前へ
/44ページ
次へ
◇◇◇  ヴァルザード王国に存在する世界トップクラスのギルドだった『虹の果て』には医務室がある。  比較的大きめ部屋に医療用のベッドが三つ。現在、その内の一つはカーテンで外部と仕切られている。  ベッドと逆側の壁には巨大な本棚があり、薬品や医学書が整然と揃えられている。『虹の果て』が廃れていた期間の割には室内は清潔に保たれていた。  最近加入した少年の使い魔が雑務を熟してくれているのだろう。薬品が同室にあるためか、薬品臭さを和らげる梨のフレーバーが僅かに香る。どうしてそこで梨を選んだ。  また薬草でもある観葉植物が部屋の隅に主張し過ぎない程度に置かれており、窓から差す光を受け止められない位置に若干不服気にも見える。  カーテンで仕切られた内側、木製のベッドに一人の女性が寝かせられていた。眠っている紫髪の麗人は体中に酷い怪我をしたようで全身を包帯で覆われており、額には脂汗を浮かべうなされていた。    但し、幸いなことに彼女は一人きりではない。その隣、個室に備え付けられた小型の木椅子に白髪の少年が控えていた。  彼はパラパラと漆黒の本を読みながら差し入れの洋菓子を齧り、梨のフレッシュジュースを飲む。  暫くして本の中盤に差し掛かった頃、眠っている麗人が一際大きく唸り声をあげる。 「う、ぐぐ……はっ!!? こ、ここは!?」 「漸く起きたか」  彼女は呻き声をあげ始めて少しすると、パッと跳ね起きる。起きようとした。 「フ、フラっ……~~~ッッ!!?」 「もう暫く寝とけ」  ぼふっ。  しかし麗人が咄嗟に起き上がろうとするも腹部の鈍痛に顔を歪ませ、再びベッドに倒れ込む。  フラガと呼ばれた白髪の少年は一旦本を膝の上に置き、目覚めた彼女に用意されていたコップを差し出す。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加