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◇◇◇
フラガと国王の密会から時は流れ日が昇る。
銀髪の少年―――ランド=クロスロードはぼちぼちと足取りを進めながら小さくぼやく。
「『特別修練者』の選抜かぁ…」
「…う…ん…!!」
「…ホイロン、一緒に頑張ろ」
「あーうんうん、分かってるって―――おい待てニーナ。どうして俺の後ろに立つ」
「リアクト、私の騎士ならば突破しますわよね?」
「いや、レイラ。待ってくれ。騎士団と親父のしごきに『白き英雄』からの指導は体がヤバい」
少しばかり騒がしくなった登校に内心首を傾げつつ本日の予定に思索を巡らせる。
数か月前の彼からは想像もつかない光景だ。
登校しようと宿舎から出たら、待ち伏せしていたとしか思えないタイミングでアウラが通りがかり、
ランドの女連れが珍しく衆目を集めているとホイロンとニーナに捕まり、
ニーナとアウラのとぼけているのか本気なのか分からない発言に突っ込みを入れていると、同様に衆目を集めているカップルの気配を感知する。
どこのどいつが餌食になったのやらと脅かし半分で覗いてみると、ランドの親友であり女っ気ゼロだったリアクトが彼女を連れ歩いている場面に遭遇した結果がこの小集団だ。
元『無帝』とはいえ、ランドも年頃の学生。噂話や面白そうな話題があればつい顔を出してしまう好奇心が故の当然の結果だった。
「フラガさん、来るのかなぁ…?」
「来…なくて、も…お、っけー」
「(スーハースーハー)」
「後ろから抱きしめんな! 匂いを嗅ぐな!!」
「では私がスケジュール表を組みますわね。感謝してもよろしくてよ?」
「いや、待ってくれ。待ってくださいレイラさん。休憩云々じゃなくいて過労で精神が死ぬの。だから―――」
「大丈夫大丈夫。精神が死なないギリギリを攻めるから」
「アンタ誰だよッ!!?」
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