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「あれが、若いのは恐らく、先代も死亡したからだ。あれにやられて、アイスラたちみたいにな」
かつて組んでいたという先代『水の果て』の名。一瞬声が震える。
「次代の暗殺者だった奴が繰り上げられたとなれば実力に不相応な若さも辻褄が合う。
魔族の襲撃で奪われた最終兵器を取り返すために懐刀を抜いたまではいいものの、その存在を各国に知られる訳にいかなかった。
だから――――」
「『白き英雄』という蓑を着せて隠した……?」
まさか、とその憶測に驚愕する。
親父は静かにコーヒーを口にした。
―――しかし、しかしだ! もし仮にそうなのだとすれば―――!!
これまでの不確かな情報が改めて脳内で結びつく。
「超人染みた身体能力は特異な血統から。
不可視の武器は暗殺用。
魔盲なのも魔力での探知を潜り抜けるため。
そして、国王が宝剣と名声を預けられるだけの信頼。
見事に全部クリアしてる…ッ!」
「我ながら割と間違ってねーと思う。
…逆に辻褄が合い過ぎて怖いぐらいだ」
ぽつりと零した最後の一言は、恐ろしく冷徹だった。
それは、どこか気に入らないと言わんばかりに。
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