(´・ω・`)邪神が世界を救うって頭おかしくない?

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「……」 「? どうしましたの?」  少年は自身の恋人を見つめる。     ・・・・・  彼女はそんな技術を身に着けたリアクトをどう思うだろう。  騎士として不名誉な、相手の尊厳を踏みにじる力に手を染めようとしている自分を。 「レイラ…もし、もし俺が」  騎士としての栄誉。肉体の限界。期待を裏切ることになるかもしれない。  息をのむ。 「俺が騎士として不適格な男になったら、どうする」 「それは、どうか一端の騎士になってから言ってくださいな」  それでは騎士道の先に果たして望んだ未来が待っているか、分からないではないか。  リアクトは今、正に騎士道の先を推し量ろうと葛藤しているのに。何の答えにもなっていない。  しかし、正論をぶつけられてはぐぅの音も出ない。  誤魔化された不安が心中に募り、どうしても沈痛な面持ちになる。  彼女は此方を見向きもせずに言葉を続ける。 「今の貴方が騎士として未熟なのは周知の事実ですわ。  でも未熟であることはお互い様ですわよ、リアクト。  ギルド長の鍛錬を眺めていれば、嫌でも感じますもの」 「――――――」  言葉を失った。  忘れていた。努力しているのは自分だけではないことを。  交際したての頃とは違う。レイラはもう副ギルド長だ。  日々の役所仕事に依頼の処理、そして鍛錬も尋常ではない。  それこそ彼女は『幻土の魔杖』と先代ギルドマスターにしごかれる今代のギルドマスターの姿を毎日見ている。  実力差など嫌というほど感じているだろう。  思いは同じだったのだ。表面に出さなかっただけで自分も、彼女も。  言いたいことを言いきったレイラは改めてリアクトに向き直る。  二人は黙って見つめあい、そして――――
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