(´・ω・`)邪神が世界を救うって頭おかしくない?

4/39
前へ
/44ページ
次へ
 彼女はフカフカの枕を背もたれにして上半身を起こしおずおずとそれ受け取ると、表情を曇らせながら彼に尋ねた。 「……あれから、どうなった」 「回復したら「気になって眠れないんだ。頼む」……」 {…『救世の白』で眠らせてやってもいいんだがなー}  『救世の白』とは端的に説明すると『物質的、概念的なものに関わらず対象を封印、開放する超能力』である。厳密には全く異なるが、そういうスタ〇ド能力と考えても差し支えない。  これで彼女の意識を封印すれば再び昏睡状態に叩き込めるが、勇者的ご都合覚醒で復活されても今後の展開に困る。  再び読書に戻ろうとしていたフラガは黙って栞を挟み眠っていた麗人―――聖国の勇者、イヴァンに向き合う。  彼女が知りたいのはブノーマ国に奇襲を掛けた自分がどうしてベッドに転がっているのか、ではないだろう。そう推察して口を開く。 「一先ず(囮)作戦は成功だ。お前が強力な奴を引き付けてくれた御陰で俺の用事は終わった。  聖女たちの救出は出来なかったがな」 「………そう、か」  まさか面と向かって『偶然出会ったお前をその場で囮にする作戦は成功した』とは言えないので作戦の一言で誤魔化す。  実際のところ、彼女が一番保護したがっていた聖女、エスクリエ=セインスはヴァルザード王国の城で匿っているのだが…。 『エスクりエっつーメスは求心力がヤベェ。聖国内の派閥の大きさは俺らブノーマが後援してやってる聖主の次、つまり実質聖国でのナンバーつーだ。  邪魔だったんデ『仕入れる』予定だったンだがよォ。糞雑魚ゴミカス共がしくじりやがって…途中でドロンよ。あのメスの潜伏場所なんぞ見当もつカねェ。  マ、派閥争いが断然楽になッて聖国の占拠も時間の問題だけドな。ギャハハ!! ―――因みにだがよォ? 今、襲撃してル勇者は俺らが聖主に手引きさせたンだぜ?  エスクリエが消えた今、次の不穏分子筆頭はアイツだったんでな。反抗的な態度が多過ぎたんで『仕入れる』ことにシたのヨ。  アーア、勇者も可哀そうダよなァ?  遥々異世界から来て下さっタのに、召喚主に売り飛ばされるなんてよォ!! 今回の襲撃で返り討ち。苗床直行ダぜ、ヒヒッ。精々強い兵隊を孕んで貰ワにゃなァ』
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加