王妃様と王子様

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結局、高いなぁとか言いながらも、サイトで最初に見付けたお菓子を買った。 「へへへ。夏蓮喜んでくれるかな。」 マンションのエレベーターを降りて、部屋の前まで行く。俺は、軽い深呼吸をしてから、チャイムを鳴らす。聞き覚えのある声で返事があって、鍵が開けられた。 中へ入るなり、夏蓮に抱き着かれた。 「…佑樹。会いたかったよ。」 「うん。俺もそれは…同じなんだけど…さぁ…。その前に、1回離してよ…。靴も脱げない…。」 「あっ、ごめん。」 慌てて手を離してくれた夏蓮は、ちょっと照れてる。俺を待ち構えていたんだな。 「…夏蓮。そんなに慌てなくても、この休みの間は、ずっと、君と一緒にいられるんだから。」 「それは、わかっているんだ。本当によく、わかっているんだけど…。」 「どうして、そんなに焦ってるの?」 「…それは。」 「それは?」 「わ、私達、遠慮しなくてもいい夫婦になったんだよな。なのに、私はここにいなくちゃならなくて…本当に、佑樹に会いたくて、会いたくて…会いたくて…。」 泣きそうな顔してる…。夏蓮が、こんなに俺に対して感情をぶつけてくれるのは、レアなんだよね。 普段の彼女は、俺が言うのもなんだけど、理性的で、理知的で、自分の感情をきちんとコントロール出来る人だ。 仕事の立場上、感情に流されて、判断を間違ってはいけないからだ。 そんな彼女は、俺の前だと、時々違う顔を見せる。 『今日から、彼氏な…』と言われたあの日から…。 「そうだよね。俺も夏蓮に会いたかったのに、いきなり離してなんて…駄目だなぁ…本当に…。ごめんね、夏蓮。」 俺は、まだ靴を履いたまま、夏蓮を引き寄せて、優しく唇を重ねたんだ。
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