王妃様と王子様

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夏休み、そんなこんなで、四国へ旅行に行くことに決めた。 夏蓮には、まだ内緒。まずは、段取りをちゃんと整えてからだ。 今いるのは、最初に新婚旅行のツアー申し込みをした旅行代理店。 「…すみません、笹ヶ峰さんいますか?梶尾と言います。」 カウンターの女性に声を掛けると、奥にいる笹ヶ峰さんを呼んでくれた。 「梶尾様、お久しぶりです。」 「笹ヶ峰さん、こちらこそ、お久しぶりです。その節は、ご迷惑お掛けしました。」 「いえ、よくあることですから、気にしてませんよ。それより、結婚式は、無事に終わりましたか?」 「はい、なんとか…。今、妻は、予定通り単身赴任中でして。」 「それは、大変ですね。新婚早々、別所帯なんて。」 「そうなんですよ。来年の春までの我慢とは言え、記念になることが、思うように出来ないのも癪なんで、中止した新婚旅行の代わりに、夏休みに小旅行したいんです。笹ヶ峰さんに、俺のプラン聞いてもらって、アドバイス頂きたいのと、チケットとか、ここでお願いしたいと思って。 キャンセルのお詫びでもないんですけど…お願い出来ますか?」 俺の提案に、笹ヶ峰さんは、にこやかに答えてくれた。 「直前のキャンセルなんて、よくあることですし、私共も幾らかのキャンセル料頂いてる訳ですから、そんなに、気にしないでください。 それに、また当社をご利用いただけることは、私共を信頼していただいているということですし、新しいご提案を出来るのは、プランナーとしては、嬉しいことですよ。 早速ですが、梶尾様のご計画をお聞かせくださいますか。」 「はい。」 「では、こちらにどうぞ。」 笹ヶ峰さんは、細かい話を聞くために、俺を奥のテーブルへと案内してくれた。
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