王妃様と王子様

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新幹線で大阪まで。いつも使っている夜行バスなら、着くのは明日の朝だ。でも新幹線なら、今夜、日付が変わるより大分前に夏蓮の元へ着くことが出来る。 逸る心を抑えながら、とりあえず、夏蓮に着く時間を連絡した。 夕飯待ってるとか言うから、先に食べていて欲しいとお願いする。 「あのさ。もっと時間早かったら、一緒に食べたいよ、俺としては。でもね、そこへ着くまでに、俺が腹ペコで倒れちゃうの。だから、駅弁を新幹線の中で食べるよ。申し訳ないけど、今夜はひとりで食べてよ。」 「…仕方ないな。」 ちょっと残念そうだけど、我慢してよ…。 「夕飯は一緒出来ないけど、夜のティータイムなんてどう?…あんまり遅いと、太るから嫌かな。」 「そんなことはない。夕飯は、控えめにして楽しみに待ってる♪」 あっ、返事の声が変わった。明らかに喜んでる。 「OK、美味しい洋菓子持って行くよ。」 「なら、東京駅限定のスイーツがいい。いつも、人様に持っていくばかりで、自分で食べたことないんだ。」 言われてみれば、そうだよな。お土産や進物用のものって、少し高いし、よっぽどでなければ、自分用なんて買わないもんな。それに、ひとりじゃ食べきれないことも多いし。 「了解。ちょっとだけ、待っててね。」 電話を切ってから、俺は、愛用のpadを取り出して、お店探しをする。 “東京駅限定の駅中のお土産”で検索を掛けると、ガイドサイトがいくつか出てきた。 その中のひとつを見てみる。 お洒落なお店や老舗の店の支店の写真とオススメが並んでる。 その中のひとつを見ていて、クラっとした。 「うわっ!高っけえ!…いやいや、みんながみんな、こんな高いわけないじゃないか。よく見てみろ。」 たまたま目に入ったお菓子が好みだったし、量的にもよさげだったのだが、限定だからなのか、いいお値段だ。 「…うん。他のお菓子は、思ったほど高くないな。よし、実物見て決めよう。」 俺は、padを片付けて、トランクをカラカラと引っ張りながら、東京駅の中。目指す店へと歩いて行ったんだ。
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