プロローグ

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 では、消えた人々の日常は?そもそも生きているのか死んでいるのかさえわからない。もしかしたら生きているかもしれない。しかし、それは誰もわからないのである。  見開いていた教科書を閉じ、教師は生徒達を見渡した。 「ということで、はい、今日の歴史はここまで。終わりまーす」  教師は教壇を降り教室を出て行く。生徒達はいつもどおり休み時間にくつろいでいる。 雑談する生徒の中に授業を振り返るものもいるが他人事でしかない。 「天変地異って俺らが生まれるずっと前だろ?あんま興味わかねぇなぁー」    晴れ渡る空はいつもの青空だ。  午後8時。ここは夜のレストラン。  その1席で食事をする家族が見える。特に会話が弾んでいるわけでもなく、ただ夕食を取っている感じである。  母親の肩に届かない髪は既に白髪が混じっている。そして怪訝な顔でテーブルの向かいに座っている父親に言った。 「ちょっとパパ、タバコは食後まで我慢してくれない?」 「ああ、すまない。そうだな」  高校生くらいの少年は母親の横で少し偉そうに相槌を打つ。 「そうだよ」 「私は気にならないよ」  父親の横で味方をしたのは制服の少女の方だ。 「えー、くさいでしょ。姉ちゃん鼻がおかしいんじゃないの?」 「はいはい、後で吸うからいいよ」  そう言って父親はタバコに火を点けるのをやめてタバコの箱を胸ポケットに入れた。     
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