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そこに先程の逃げる男が道路の向こうから走ってくる。すぐ後ろには長髪の男。逃げる男が振り向きざまにスーツ男にカードを投げつけようと構える。
「遅い!」
そう言って長髪の男が放つ刃が逃げる男を貫き少年をも傷つけた。男と少年は倒れ込み意識を失う。
コートの埃を落とす仕草をして長髪の男は言った。
「任務完了っと」
さらに無線を取り出し話し出す。
「ターゲットは捕獲しましたが目撃者多数です。防犯カメラ等も複数ありますので処理のほどお願いします」
無線から女性の声が聞こえてくる。
「了解しました。手配しておきます。映像は全て処分可能ですがこれ以上の目撃は避けてください」
「あ、あと一般人を一人切っちゃいました」
「何してるんですか。私達の仕事は痕跡を残さないのが鉄則ですよ」
「このまま放置してもいいと思うんですけど」
「顔を見られている以上そこにはいてもらっては困ります。その子は可哀想ですがあっちに行ってもらうしかないでしょう」
「了解っす。それじゃ、連れて行きます。あーあ、目が覚めたらビビるだろうな」
――レストラン店内。先程の家族。
「あいつ遅くないか?」
父親は不思議そうにレストランの外を見ながら言った。すると食事を取りながら視線も落としたまま少女が言う。
「身だしなみは大切よ♪ママとかもっと時間かかるし」
ため息混じりの母親。
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