新地へ

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 目を開いて雲一つない空を少年は見ていた。 「んー、空が青い。青空だ。」  少年はすぐに異変に気づいた。まず、名前が思い出せないことに気づいた。歳は17歳、両親と姉との4人暮らしだ。母親の名前。父親の名前。少年は必死に思い出そうと考えた。  自分が高校生で毎日電車で1時間かけて通学していることは覚えていた。しかしそれが何処でなんと言う高校かが思い出せない。 自分の記憶が不安定で名称やその映像が出てこない。記憶をたどりレストランの外で誰かと電話で話してたことは覚えていた。その時自分に向かって走ってくる男ともう一人の男のことまでは思い出せていた。それよりも少年は見たこともない景色に困惑する。 「ここどこだよ」 「何処だと思う?」  横には記憶に残っている男が仰向けでいた。 「うわっ」  慌てて腰を下ろしたまま後ろに下がる少年。  男は少年に近寄り顔を覗き込むようによく見た。 「というかお前はだれだ。なんで俺と一緒に倒れてんだよ。そのキズは俺と同じ奴にやられたのか?」 「知らない、です」  初めて会った男は体格もよく、まず素手じゃ勝てないであろう。また少年よりも年上だろうと判断したのか敬語で話していた。     
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