新地へ

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「え、ちょっともしかして俺のことおちょくってますか?携帯くらい持ってるでしょ。俺はさっきのレストランに携帯……」  少年は周りを見渡す。そう当然今までと違う場所。そしてルグランを見る少年。何かを悟ったのか少年は軽く頷く。男は少年を見ながら少し考え込んだ。そして、理解したぞとばかりに話し出す。 「あー、なるほど、向こうの文化か。そういや見たこともない物だらけだったもんな」  男の言葉に少年は黙って考えている。そして自分が置かれている状況を少しずつ把握していったのか、冷静な言葉が声として漏れた。 「これは面倒ですね」  続けて少年は話し出した。 「ここは俺の知っている世界ではない。たから当然、飛行機で帰るなんてことは出来ない。しかし、景色そのものは異世界というよりは時代を感じるだけで不思議な物は見当たらない。ならばタイムスリップか?だったら戻る方法なんてないでしょう」  少年を呆れて見ながら男は話し出した。 「妙に冷静な奴だな。まぁいい折角だ、自己紹介くらいしようや。俺はルグラン、お前は?」  少年は少し考えたがどうしても思い出せない。 「実は思い出せないんです。」  さらに呆れた口調になるルグランと名乗る男。 「は?なんだそりゃ。まさかの記憶喪失ってやつか?」     
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