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「その表情とは何ですか。からかわないでください、ユーリ」
「からかってませんよ、レティお姉様。可愛い顔を表情するお姉様が悪いのです。しかも今まで見てきた表情の中で僕が理性に負けそうになった可愛いお姉様の表情ベスト5に入る表情です」
「な、何ですかそのベスト5って言うのは! か、勝手にランキング化しないでください!!」
「ベスト5だけではないですよ? 30いや、100はあるかもしれません」
惜しげも無く歯がゆい言葉を投下していくユーウェイン様。もう突っ込みのはやめよう。
こちらの方が照れてしまうし今まで蓋してきた気持ちが揺らぎそうになる。私は照れ臭さをごまかす為にさっと立ち上がる。
「と、ともかくも。私のためにありがとうございました! 目的も達成したことですし屋敷に戻りますよ」
「あー……そうですね、お姉様」
歯切れ悪そうに答えるユーウェイン様。まだこの花畑に用事があるのかと未だに立ち上がらないユーウェイン様に首をかしげる。
「まだ何かありますか? このディフィレイクレアの花畑はまた来れますし今日は帰りましょう」
「レティお姉様。僕は最初、ここへ連れて来る前に何と言っていたか覚えていますか?」
「何って……確か、どうしても、今日じゃないと見られないものがあると……あ、もしかして」
私はそこで我にかえる。彼がどうして、今日にこだわっていたのかを。ユーウェイン様は、立ち上がりディフィレイクレアの花畑を見渡しながら切なげに目を伏せる。
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