バス友

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* 日差しが春のそれになり、マフラーも手袋もいらなくなった3月。 バスの揺れに眠気を誘われうとうとしていると、ドスンと隣りに誰かが腰かけたのがわかり目が覚めた。 誰か、なんてわかりきっている。 こんな風に私の眠りをわざわざ妨げるようにして現れる奴なんてひとりしかいない。 「よぉ」 「んー」 短い挨拶に気の抜けた返事をする。 これが私たちのいつものやりとりだ。 同中出身の男子。 私が通う高校の近くにある、男子校に進学した腐れ縁。 「どーよ、調子は」 「調子ぃ? ……眠い」 「それはいつもだろ。……まあ、いつも通りってことか」 「何? 何が言いたいの?」 「べっつに~」 だらりと隣りで四肢を投げ出す奴に少しあきれる。 バスの最後部の広い座席には私たちしか座っていないけど、だらしなさすぎだ。 この他よりもちょっと高くなった、車内全体を見渡せる席が私たちの指定席。 というか私のお気に入りで、隣りの男は私の隣りにいつも真っすぐ向かってくるので、こうして毎日並んで通学している。
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