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「聴いて! お願い。貴方も、父さんも死んでいるの。私が12歳の時に大罪を犯して国家転覆を狙うサイバー犯罪を決行して大量の人間を廃人にしてしまった。その罪で極刑になっているわ。それも……全ては私の死に帰依するの。私を失ったことから反組織を対象にU-Linkにウィルスをばら撒いて視神経を通じて脳細胞を破壊したの。人こそ殺さなかったけど何百人の人間が狂ったわ! 私は知らなかった…私が死んで、お父さんも犯罪者に。私は、実態を持たない存在。でも、お父さんとお母さんに愛され、自分の意味も理解できた。両親に感謝しているの。だから、変えたかったの。悲しい未来を」 「だからって! 一体何で過去の僕にそんなことを伝えに来たんだ!! 聞きたくないんだよそんな事後報告!」 「嘆かないで!」 「無理だよ、だって……」  とさっ……何かがぶつかる。伝わる熱は本当に虚像なのだろうか?懐に小さく柔らかな体が縋り付いていた。涙がこみ上げ、ゆるゆると抱き返す。 「無理だよ、だってもう……鹿鳥は死んだんだろ?」 「変えてほしいの。技術者になってはいけない! 画家になるの! 美大に行って、貴方の好きな絵を沢山描いて! そして……もう私なんて生まれなければいいのよ。そうすれば貴方は絶望しないから!」  絶望しない。そんなことはない。鹿鳥が生まれないことが一番の絶望だから。たとえ罪が増えても、大切な鹿鳥に出会いたい……。 「鹿鳥……悲しいこと言わないでよ……鹿鳥は、大事な人だから。娘でも、何時か出会いたいよ」     
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