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幸運なことに、ぼくは同年代の男の中では比較的小柄で骨が細く、筋肉がつきにくい体質だった。
だから、女の子の服も難なく着こなせる。街を歩いても男だって見破られない自信がある。
舞台に立ってるあの子より、もっと綺麗に盛れてる。
そう、ぼくのほうがもっと、あの子よりうまくやれる。
「ねえ、あの子なんて名前だっけ?」
「夢見原きらら」
「ふうーん」
Twitterアプリの検索窓に名前を打ち込み、アカウントを探す。
フォロワー数、たったの千人ちょっと。
ほら、やっぱりぼくの方が上だ。
「なに、お前きららちゃん推しになったの?」
「まぁ、ちょっとね」
気がつくときららは舞台から降り、ファンたちと談笑している。
舞台にはもう別のアイドルがあがり、パフォーマンスの準備を始めている。
「うわー、きららちゃんより不細工だなぁ。この現場失敗だったかも」
次のアイドルを見て、マサトはあからさまに顔をしかめてぼやいた。
「マサトって、地下アイドル好きなの?」
「好きっていうか、俺だけの推しが欲しくてここにたどり着いた感じかなぁ。フツーのアイドルじゃ満足出来ないっていうかさぁ。誰もみつけてないダイヤモンドの原石を探したいわけよ。それに地下アイドルなら距離も近いし応援しがいがあるじゃん?」
「ふーん」
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