プロローグ

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マサトの熱がこもった語りを聞き流して曖昧にうなずく。 正直マサトの主張についてはよくわからない。ぼくはただ、舞台に立っているアイドルの服や髪型を研究したくて観ているだけだし。 でも、地下アイドルというものにはがぜん興味がわいてきた。 ここなら、子供の頃からあこがれていたアイドルに、ぼくもなれるかもしれない。 マサトみたいな奴が沢山いて、ぼくにかわいいって声援を送ってくれるかもしれない。 「ねえ、地下アイドルってさぁ、オーディションとかあるの?」 「さぁ……なんかライブハウスの入り口に、出演者募集って書いてあったけど。このレベルじゃろくに審査してないんじゃないかなぁ。こんなレベルが低い現場、俺はもう来ないよ」 なるほど。審査がないなら好都合だ。それに、マサトが来ないと言ったら二度と行かないことは今までのつきあいで分かっている。これならこっそり出演してもバレないかも。 手慰みにスマホをいじるふりをして、今いるライブハウスの名前を検索する。 クラブA、出演者募集。年齢、性別、経歴不問。 ホームページの出演者募集欄にはそう記してあった。今すぐ送ってみたいけど、隣りにマサトがいるし、家に帰ったら問い合わせのメールを送ってみよう。
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