その後の二人

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俺は今、隆太の家の風呂場の前に立っていた。 中からはシャワーから出る水の音がドアを隔てて聞こえてくる。 風呂場のドアを少しだけ開ければ、カチャッと小さな音が鳴った。 高揚する胸を押さえて、鍵が掛かっていない状態の無防備なドアを勢いよく開け放つ。 「へ……っ、太一、うわっ……え、なんでっ……」 開けた瞬間、ぶわっと蒸気が押し寄せてきて、俺の視界は一気に曇った。 風呂場と脱衣所との温度差のせいだろうが、全く見えない。 しかし俺は特に気にする事なく、一度眼鏡を外して洋服で拭き、もう一度掛け直した。 クリアになった視界に飛び込んで来たのは、狼狽え、目を泳がせながらも必死にタオルで下半身を隠す隆太の姿。 あ、この反応、可愛いかも。 隆太は髪の毛を洗い終えて丁度身体を洗っている所だった。シャンプーの匂いが俺の鼻を掠めて何だかくすぐったい。 金色の髪の毛を伝って滴り落ちる水滴が、どこか艶めかしく感じた。
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