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スタッフさんが車から手を降りながら帰っていく。
その場に残ったのは、あたしと友美さんだけ。
すこし戸惑うあたしに、友美さんは屈みこんでニコッと笑いかける。
「さぁ、一日よろしくね」
「よろしく、お願いします」
この人の瞳はとてもキラキラしている。あたしが来るのがそんなに楽しみだったのだろうか。そんなことを想像すると照れてしまう。
友美さんの笑顔だけで、あたしの緊張は一気に緩んだような気がした。
そのあと、あたしは友美さん一緒にお料理をしたりおしゃべりしたりと一日を楽しんだ。でもそれは、家族としてではなく友達或いは親戚のおばさんと姪っ子のような関係だ。
それは仕方がない。
だって、あたしはこの人の子どもじゃない。それを認識する瞬間はとても心が寂しくなる。
それはばれたくないから必死で、隠してみるけれど時折この気持ちがあたしの邪魔をする。素直にならせてくれない。
夕方、そろそろスタッフさんが迎えに来てくれる頃に、友美さんの息子ひかるが帰ってきた。
「ただいまー」
その声がするや否や、友美さんはひかるを迎えに行く。
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