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「おかえりなさい、今日は楽しかった?」
ひかるに対して、気を使っているように見える。声のかけ方が、なんだか違和感がある。
「うるさいな、黙ってよ」
せっかく友美さんが声かけてくれてるのに、ひかるは母親を睨みつけた。腹が立って、あたしはひかるの頬を引っ叩いていた。
「あんた、なんでそんな風にいうの?母親でしょ?」
あ、ついにやってしまった。しかも友美さんの目の前で。
「なっ…お前は、この前の!」
「知ってるの?」
友美さんが、あたしとの面識があることに気づいたようだ。けれど、この反応を見るとどうやらこの前の出来事は聞いていないようだ。
「なんで、お前がここにいるんだよ!早く出ていけ」
「私が招待したの、ひかるちゃん」
「ばばぁはだまってろ!」
あたしにだけならまだしも、母親にこんな態度をとるなんて信じられない。
「本当、あんたって周りの人に対して優しくないよね」
本当にこいつは友美さんの息子なのだろうか。こんな態度で、すごく腹が立つ。
「美空ちゃん、大丈夫だから」
友美さんは慌てて、あたしとひかるの真ん中に立つ。これ以上、友美さんを心配させちゃだめだ。
「ごめんなさい。友美さん、あたしあなたの大切な息子さんを…」
「うぜーな」
そういうと、ひかるは階段を駆け上がっていった。それを悲しそうに見つめる友美さん。けれど、バタンと音がした後、友美さんはあたしを抱きしめた。
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