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友美さんが持つあたしへの印象は、あの日を境にますますよくなったらしい。
すると、着々と養子にするための手続きが進んでいく。
そんな中、ふと自分の出生が気になった。
一体あたしは誰で、誰と誰の子供なのか。兄妹はいるのか。
そういう情報は一切知らない。自分が、白野 美空であるということ以外何も知らない。
昔いた施設が火事になり、あたしに関する情報は消えてしまったらしい。
だから、あたしのことを知るすべはない。唯一戸籍謄本というものは、手にはいるが手続きを子供のあたしができるわけもない。
けれど、ひかるは、友美さんの息子で愛をすべて受けてるのに、気づきさえもしない。
対照的な自分がすごくみじめにおもえた。
光の当たらない場所にいる自分。
なにも知らない、親にも愛されていたかさえもわからない。捨てられたのだから愛されなかったのだろう。
それでも、今もあたしが愛されたいと思うのはきっと、自分というアイデンティティーを確立したいからだ。
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