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あっという間に一緒に過ごす時間は過ぎて行った。二人は終始あたしにやさしくしてくれた。
お昼に食べたいものを聞いてくれたり、何に乗りたいかをずっと聞いてくれていた。少し戸惑いながらも、友美さんの手に自分の手を近づけてみると友美さんは気づいてあたしの手を握ってくれた。
手をつないだ瞬間に、温かさを感じた。
大人の手は少しだけ冷たい。けれど、その冷たさの中に温かさがある。
そのことに気づけた自分が、なんだか発明家のエジソンになったみたいで自分が新しい大発見をしたように思えた。
きっと、ほかの子どもからすればあたりまえのことなんだろうけれど、あたしにはどれだって新鮮なものばかりだった。
帰りの車の中であたしは眠りに落ちてしまった。眠っている間に耳にかすかに入ってきた声は、誰かと電話をしている友美さんの声だった。
少し申し訳なさそうに喋っている。けれど何をしゃべっているかまでは聞こえなかった。
あたしは疲れて、そのあと深く眠ってしまい気づけば自分のベッドの上だった。
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