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「妹?」
前に話で聞いたことがあった話だった。今まで聞かなかったけれど、友美さんが話してくれるようだった。
「あの子には、ひまわりっていう妹がいたの。それはそれは、お兄ちゃんっこで、いつだってひかるの後ろをついていっていたわ。
ひかるも、ひまわりが大好きだった。家を出れば、仲良し兄妹と言われるほどに周りの人にも愛されていたわ」
そっと、玄関に伏せてあった写真たてに手を伸ばし手に取ると、あたしに見せてくれた。
どこにでもいるような平凡な家庭、それでいて写真からもつたわる温かい家庭だった。その家庭も、ひまわりちゃんの病気によって壊れてしまった。
「2年前、ひまわりは病気になってしまった。そのせいで外で遊ぶこともままならず、外から遊ぶ子供たちを眺めていたわ。
それを見たひかるは、どんどん外で遊ばなくなったわ。ひまわりのそばにいるようになった。
寂しがるひまわりのことをわかっていたかのように、ずっとそばにいてくれたの」
そのまま、友美さんは続けて話してくれた。弱るひまわりちゃんを見て、どんどんひかるは変わっていったのだと。そして、それは悪い方向にいってしまったと。
「懸命に治療をしたけれど、ひまわりはなくなってしまった。その日から、ひかるは1週間ほど引きこもってしまって、やっとドアを開けたと思ったらとても冷たい目をしていた。
まるで、すべてをあきらめたかのように」
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