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それからというもの、今のようなひかるに変わってしまったと友美さんは言う。聞かされた話があまりにも悲しくて、ひかるのことを少しかわいそうと思ってしまった。
あたしは、いてもたってもいられず玄関を飛び出しひかるを追いかけた。どこにいるかは知らないけど、そんなことはどうでもよかった。
ただ、アンタは愛されているんだぞって、ひかるの頭を無償に小突きたくなった。
走り回ってようやく見つけたころには、夕方になっていた。公園のブランコに座っているひかるを見つけた。帰りたいけど帰れないという表情で、地面をじーっと見ていた。
「ねぇ、」
あたしが声をかけると、地面を見ていた顔をこちらに向ける。目が赤くなっているのをみると、泣いていたことが分かった。
「帰ろう。別にアンタのことを思っていってるんじゃない。友美さんが心配する」
「あんなやつ、いい」
その言葉を聞いて、あたしはひかるの頭をコツンと小突いた。すると、うわあああんと泣き出した。なんだ、コイツ弱い。
「なんでそんな風に思っているかわからないけど、待ってるよ」
そういっても動こうとしないひかるを不思議におもって、足元をよく見るとケガをしていた。走っているときにこけたのかな。
それで痛くて歩くのも無理って、どんな弱虫よ。はぁとため息をついて、あたしはひかるを背中に背負った。
「帰ろ」
「お前なんか嫌いだ」
「嫌いで結構」
それでもおとなしくあたしの背中にすっぽり収まるあたり、家が恋しくなったのかなと思った。
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