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友美さんの家に行く日をカレンダーに印をして、まだかまだかと待つようになった。友美さんに何かプレゼントしようか。喜んでくれるだろうか。
あの人、すぐに感動するからきっと喜んでくれるだろうな。
あたしは、最近施設長からもらった500円を握りしめて、街へと出かけてみた。
街は、子供のあたしが一人で出ていくにはとても広い場所だ。だから施設長は、施設の近くしか一人で出歩くことを許していない。
施設の近くには、子供たちがよくいくお店がある。女の子も男の子も買いに行けるようにと、たくさんの雑貨が置いてある。
カランとドアについている鈴を鳴らすと、お店のスタッフさんが笑顔で対応してくれる。
「やぁ、美空ちゃん。最近はよく来てくれるね。何か買いに来たのかい?」
「500円で友美さんにプレゼントを買いに来たの」
「そりゃぁ、友美さんは泣いて喜ぶだろうな。何しろ、あの美空ちゃんからのプレゼントだもんね」
ここのスタッフさんとは、友美さんと来るようになってからとても仲良くなった。スタッフのお兄ちゃんは、あたしにとてもいろんなことを教えてくれる。どういう商品がいいかとか、あたしの年代ではやっているアクセサリーとか、お店に来るごとに喋ってくれる。
「あたしはそんなケチじゃないよ」
「そうじゃないさ。ずっと笑顔を見せなかったし喋らなかった美空ちゃんから、貰えるなんて嬉しいもんだよ。友美さんからすれば」
和気あいあいとしゃべっていると、カランカランとドアが開く音がした。
「おっちゃーん、僕のお気に入りのお菓子ある?」
キャップ帽をかぶって、丈の短いズボンをはいている。いかにもやんちゃそうな男の子がやってきた。
あたしと同じ年くらいであろうその男の子は、スタッフのお兄ちゃんをおじさんよばわりするばかりか汚れた靴で平気でお店の中へと入っていく。
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