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友美さんの家は閑静な住宅街の中にどっしりと構えていた。
お金持ちであることがうかがえる。あたしは、その大きな家を見上げて、友美さんの姿を探す。
「あ、」
いた。2階でちょうど洗濯物を干しているところだった。
「美空ちゃん!!」
あたしを見つけると、すごく嬉しそうな顔をする。この人は、すごくコロコロと表情が変わる。それがとても面白くて、見ていても飽きない。
「ちょっと待ってて!すぐに降りるから」
洗濯物を干していたけれど、すぐに応対してくれるのが嬉しい。すこし頬が熱くなった気がした。
バタバタと階段を駆け下りる音が聞こえる。よほど急いでいるのだろう。
階段を降りる音がやむと、次はすぐさまドアがバンッと開く。
「こんにちは!美空ちゃんっ、来てくれてありがとう。
すごくきれいな洋服を着ているのね、とてもかわいらしいね」
あたしと同じ背丈にかがんで、挨拶をしてくれる。そんな友美さんが優しい。
「招待してくれてありがとうございます」
「すっごく楽しみにしていたの」
「今日は、よろしくお願いいたします」
スタッフさんが深々とお辞儀する。その姿を見て友美さんも深々と頭を下げた。
そして、スタッフさんはあたしの方を見て、あたまを撫でる。
「今日はうんと楽しむんだよ」
そういうスタッフさんの優しさが、いつにもまして身に染みる。前まで、自分の周りの優しさなんて気にも留めていなかったのに。
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