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子どもの頃の話を聞きたいなんて、そんなことを言われたのは初めてだった。
言いだしたのは目の前にいるきれいな顔をした赤毛の男で、柔和な笑みを浮かべ俺が話しだすのを待っている。
「ガキの頃の話だったらなんでもいいのか?」
「Yes」
俺はたばこに火をつけて考えた。こいつはいったい何を言っているんだ?
そんなもの人に話したことなんかない。しかし聞かれなかったというだけで、実は心のどこかでずっと誰かに聞いて欲しかったような気がしてくる。
白い顔した赤毛の男は、まつ毛まで赤毛だった。そのブルーグレイの瞳の静かなたたずまいに俺はそそのかされ、口を開く。
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