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「こうして生きてるだけで幸せだってのに、それに加えてこんなイイ男が朝食作ってくれてんだから、マジで神様に感謝しとけよ」
「……」
イイ男って…。
それ、自分で言う?
そう思いながらも、さっき重たそうな前髪を掻き上げた時に見えたパーツはどこを取っても綺麗に整っていたなと思い出す。
髪を整えてヒゲも剃って、きっちりした格好をしたらイイ男という言葉が似合う風貌になりそうだ。
「なんだよ、その目。文句あんのか?」
「別に文句じゃないですけど…私、ヒゲ嫌いなんで」
つらっとそう言えばその人は何故か肩を揺らして喉の奥から音を洩らすように笑いながら、
「知ってるよ」
一言、確かにそう零した。
「…え?」
「ほら、早く食わねえと冷めるぞ」
私の間抜けな声にわざと被せるようにしてその人はそう言いながら顎でダイニングテーブルを示した。
辿るようにそちらに視線を向ければ、程よく焼き目がついたトーストと香ばしそうな厚切りベーコンとふわふわのスクランブルエッグがお皿の上に綺麗に盛り付けられている。それに加えて、サラダやジュースも。
見るからに美味しそうなそれに、お腹はぎゅる…と微かに音を立てゴクリと喉が上下した。
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