明後日の彼女と秘密

《１》

　その由衣は、かわいそー、と軽やかに人の不幸話を片付けてから続ける。

「そんなにその激レア？　のキャラ手に入れるのって難しいの？」

「うーん、運も課金もあるけど、今回のイベントはプレイ時間の面が大きいからね」

「ふぅん」

　パズルゲームとRPGを足して２で割ったようなそのゲームは、ギリシャ神話に則ってきちんと作りこまれたストーリーや、綺麗なキャラクターデザインがとても私好みだった。

　激レアのキャラクターはガチャと呼ばれるくじを引かないと手に入れられないが、そのガチャで希望のキャラクターが出る確率はレベルやプレイ時間等様々な要素によって決められている。単に課金すれば良いという訳ではないのも、このゲームの魅力の１つだと私は思っている。

「欲しいんだ、それ」

　自転車は順調に通いなれたコースを進んでいく。ただ立ち止まっているよりは、幾分風が気持ちよかった。

「そりゃあね」

「ですよねぇ」

　今日はやけに満足そうに話を合わせてきたけれど、由衣自身はほとんどゲームをしない。対して私はと言うとゲームはもちろん、漫画もアニメも大好きだった。由衣はそのどれもにあまり興味がないようで、このゲームも私が勧めて半ば無理やり会員登録だけしたものの 、全然ログインしていない。