《2》

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 テスト期間中は普段の座席順ではなく、テスト用の名前順の座席になる。  私は、この座席順が好きだった。 「あれ、里中と鷲尾って、毎日一緒に来てんのか?家近いの?」  こちらに顔を向けた鹿島くんは、学年トップ5に入る成績優秀者だ。さすがの余裕でテスト直前の今も特に慌てることもなく、いつも通り机の上にはスマートフォンしかない。  外見は、テニス部の鹿島くんの方がだいぶ日に焼けてはいるけれど、塩顔で推している朝ドラ俳優に似ていると思う。ただ、この間それをさりげなく由衣に話してみたら、どこが? と冷たい視線を返されてしまった。  決してクラスの中心という訳ではないけれど誰とでも気軽に話せて、クラスの男子からも何となく尊敬されている感じで、そこが、私はとてもいいと思っている。 「うん。幼馴染」  私たちは、正確に言うと由衣がこっちに引っ越してきた小学校4年生からの付き合いだ。中学、高校ともう出会って7年になる。  別に自分の容姿をそんなに卑下したい訳ではないけれど、小さな頃から由衣の傍にいるお陰で、良くも悪くも私は早々に自分の立ち位置を理解し、現実主義の考えを体得してゆくこととなった。
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