《3》

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《3》

「あ、あの、鷲尾さん」 「はい」  帰りの下駄箱で、由衣が声をかけたれた。知らない顔だな、と思って足元を見ると、上履きの色が青い。うちの学校は学年毎に上履きの色が違っている。青は、3年生の学年カラーだった。 「あの今帰りですか?ちょっと時間もらえませんか?」  伊達に長年由衣の傍にいない。告白しようとしている人は、空気でわかる。  その美貌を持っていれば当たり前ではあるけれど、由衣は、それはもう相当モテる。笑えるくらいモテる。それでも流石に高校も2年になると、由衣に告白する猛者は同学年ではほとんどいなくなっていた。  ただそれは由衣がモテなくなった訳では決してなくて、単に一通りの告白希望者を、由衣が捌ききっただけだ。  由衣は、自分の容姿の良さに気づいていない筈がないのに、そこまでそれに価値を見出してはいないようだった。だから、外見を褒められてもたまに変な顔をする時がある。  そしてそれがまた、美人なのに鼻にかけないところが良い、と周囲の評価を上げる要因にもなっているのを私は知っている。
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