《4》

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《4》

「信じることにした」  待ち合わせの場所にすでに居た由衣に、私は開口一番でこう言った。  翌日。  真夏を先取りしたような晴天の空に、朝の天気予報は今月の最高気温更新を予想していた。  どんなに疑ったって、由衣が未来から来たことは事実のようだった。 「どうやってタイムトラベルしてきたの? なんだっけ、ラベンダーの香り嗅いだら、とかあるじゃん」  今日も、前を行くのは由衣だった。今日の由衣は髪をポニーテルにまとめていて、露わになったうなじは同性の私でもドキッとする。テストで後ろの座席の子は、さぞ落ち着かない時間を過ごすだろう。 「それは時かけだね。私は別に、寝てて起きたら、って感じ?」  天気予報通り日差しは真夏の様相で、このままだともう日に焼けてしまいそうだった。 「そんなのあり? 何か重要な使命でも背負った?」 「さぁ? 特に。それは信長狂想曲?あ、仁?ってか私、3日後から来ただけだし」 「じゃあ3日後! 3日後に何があったの?」
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