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「跳ぶぞ! 掴まれ!」
タンブラー後部のブースターに火が付き、枯れ草を燃やしながら崖から飛び出した。戦地に向かって飛んでいる最中、突如として戦場の中心で巨大な爆発が起こった。白い煙に周囲は遮られ、爆風によって車体は煽られる。カルピスは慌てて頭を引っ込めると、屋根を閉じた。
煙が晴れる。その姿を目にして、本当に言葉が出なかった。飛び交っていた銃弾や魔法も止まり、戦場にありながら静寂の時間が訪れたのだった。
「超……大型巨人?」
人体模型の筋肉組織が浮き彫りになったような巨人は、全身から蒸気を吹き出し、ゆっくりと足をもたげる。そして怠慢な動作で振り下ろすと、深々と地面をえぐり取った。
大量の岩や土が降り注ぐ。我に返った群衆たちは、いきなり現れた目下最大の脅威に一丸となって襲い掛かった。
姿勢を崩したタンブラーは派手に転がりながら、何とか走り出す。巨人は二機のロボットと大勢の群衆を同時に相手にしてもなお圧倒しており、一歩動くだけでうなぎ上りに脱落者が増えていく。
カルピスが叫んだ。
「進撃の巨人好きだったよな! あれの弱点は?」
巨人に向かって主砲を放つ。発射角度が足りず、砲弾は虚しく足元に落ちた。
「原作通りならうなじだ!」
目前にブルーアイズ・ホワイトドラゴンが姿を現す。口元から青白い光が溢れ出しており今にも放たれようとしている。
「リザードン!」
リザードンは力強く羽ばたくと、全身に炎を纏いブルーアイズ・ホワイトドラゴンへと突進した。二匹の竜は地面へともつれ込む。リザードンが押さえつけている間に、脇を走り抜けた。
「カルピス! 危ないぞ!」
巨岩がタンブラーに向かって降り注ぐ。ブースターに点火し急加速した瞬間、目と足のついた爆弾が爆発した。前輪が持ち上がり、天地が逆転する。しばらく滑りこむと、岩に当たって止まった。急いでタンブラーをインベントリーに戻す。そしてカルピスの手を掴み、転ぶようにして走り出した。
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